美味しいお米づくり研究会
中山間地域農家の現状

日本の中山間地域にある農家は、独特の地理的条件や社会的背景により、さまざまな課題に直面しています。中山間地域とは、平地が少なく、山や丘陵が多い地域を指し、急斜面や標高差があるため、農業の生産性が低くなりがちな地域です。

高齢化が進行し、後継者不足が深刻な問題となっています。若い世代が都市部に集中し、農業を継ぐ人が少なくなっているため、多くの農家が廃業の危機に瀕しています。中山間地域の厳しい労働環境や収益性の低さが、若者の農業離れを加速させています。

中山間地域の農業は、自然環境に大きく依存しています。水資源の確保や土地の保全が重要な課題であり、農業の維持が地域全体の環境保護に貢献しています。中山間地域の棚田や段々畑などの伝統的な農地の形状は、土砂崩れや洪水を防ぐ役割を果たしていますが、これを維持するための人的資源が不足しています。

近年では、中山間地の農業に新たな価値を見出す取り組みも進んでいます。たとえば、観光農業やエコツーリズム、地域ブランドの作物や有機農業の推進など、農業関連の収入源を確保しようとする動きが広がっています。また、特別栽培や伝統的な農法を活かして、高付加価値の農産物を生産することで、地域活性化を図る事例も増えています。

美味しいお米づくり研究会

松原の農家で組織した「中山間・中筋中ノ村集落」「松岡営農組合」では10年以上、美味しいお米づくりの研究を続けています。 田んぼの土壌分析を行い、肥料の減少への取り組みやお米の食味分析を実施しています。そして秋には全国お米日本一コンテストへ“霧が育てた雲海米”を出品して評価を受けています。

研究会メンバーも中山間地域の様々な共通課題を抱えています。
① 地元の稲作農家の平均年齢は73歳と言われています。農家のみなさんは、あと何年田んぼを守っていけるかわからない、と言っています。
②獣害対策には電柵を使用しています。田んぼの周囲に電線を張り巡らせて夜間だけ通電させて、イノシシなどが近寄った時に感電させる仕組みです。電線に草が伸びて触れると漏電するため、定期的に草刈りをします。かなりの労力が必要です。
③田んぼの水は田植え時期には重要です。山の上には川もため池もありません。冬~春先に雪や雨が降らないと水溜めができません。田んぼの水が漏れないように細心の注意が必要です。
④田んぼの周りの畦畔(あぜ、土手)や農道、水路の草刈りは欠かせません。年に4~5回は草刈りをします。イノシシなどの獣害対策にもなります。傾斜地の草刈りは危険が伴い、重労働です。